初めまして、明日霧(アスキリ@asukiri)です。
職場に保険の営業担当さんがきて、
- 社会人になったら保険は入った方が良いですよ
- 消防士は危険な職業だから保険に入っておいた方が安心です
- 食費や差額ベッド代は全額自己負担だから保険に入ってないと大変ですよ
- 皆さんも医療保険に入ってますよ
など営業されたことはありませんか?
おそらく、消防士になって1年以上勤めている人は経験があると思います。
そこで、
当記事では、上記のような疑問・悩みを解決できるように
- 全消防職員
を対象に 明日霧(アスキリ) が解説します。
※消防職員向けに解説するため、一部簡略化(特化)して記載している箇所がありますのでご了承ください。
結論から先に申し上げますと
消防士に民間の医療保険は基本不要
簡単に説明すると
- 公務での病気や怪我は、地方公務員災害補償法による公務災害補償で対応
- 医療費の自己負担額は共済組合の制度で2.5万円以下に抑えられる
- 食費は差額で考えるべき
- 差額ベッド代は贅沢費のため不要
- 遠くの病院に入院した場合、転院を考慮
それでは、ともに学びましょう!!
前提①:保険に加入する目的
そもそも保険に入る目的は何でしょうか?
「なんとなく」とか「漠然と不安だから」で加入してしまっていませんか?
そのような状態では保険貧乏まっしぐらです(^_^;)
本来の目的は「緊急事態(自身ではどうにもならない経済破綻リスク)」に対する金銭的備えです。
(潤沢な資産がある場合:金銭的リスク許容度が高い人は、保険に入る必要もないかもしれません)
例えば、
- 死亡事故を起こし何千万~何億の損害賠償
- 自身が死亡した際に、残された家族の生活費や養育費
などが該当するといえます。
つまり、保険に入る目的とは
人生で起きてほしくないことが起きてしまい、
その事態に対処するために必要なお金を受け取ることが目的です。
当然のことながら、保険に加入することで
という訳では決してありません。
もしこんな保険があったら是非検討したい(^^)/
前提②:保険は加入した時点で基本損をする
保険を運用している保険会社は営利企業です
そのため、集めたお金>支払うお金 でなければ経営は成り立ちません
当然 集めたお金<支払うお金 では倒産してしまいますよね?
※集めたお金=私たちが支払う保険料 支払うお金=保険会社からもらえる保険金
▼ もう少し詳しく知りたい方は ▼
>>保険は損を承知で加入するもの
① 消防士の保証内容を確認
消防士は最高の医療保険に加入済み
医療費が高額になってしまった場合、
一般的には、高額療養費制度を利用することで
月の最大自己負担額は、約8万円になります(所得等により変化します)
消防士(公務員)の医療費負担は、
医療費負担の軽減を目的に共済組合の事業で実施されている
一部負担金払戻金・家族療養費附加給付金といった項目で附加給付の制度があり、さらに軽減されます。
ちなみに公務員や大企業くらいにしかない制度です。
▼ どれくらい軽減されるかは ▼
>>消防士に民間の医療保険は必要?(治療費編)
公務災害について
現場活動などで、怪我をした場合
地方公務員災害補償法に基づき、公務災害補償制度というものがあり
補償内容は民間の労災保険と同じ水準で行われます
▼ 公務災害の認定基準については ▼
>>地方公務員災害補償基金:通達(認定)
休業補償について
1例ですが、消防士(公務員)は
病気や怪我などで、仕事に行くことが出来なくなっても
- 有給休暇:有給残日数(100%)
- 病気休暇:半年(100%)
- 休職:1年(80%)
- それ以降(0%)※その代わりに傷病手当金有
これだけ保障されています。
勤務を休み報酬が支給されないときは共済組合から傷病手当金及び傷病手当金附加金として
1日約1万円程度が支給されます。
▼ 傷病手当金及び傷病手当金附加金については ▼
>>地方公務員共済組合
② 入院した場合に掛かる費用は?
- 医療(治療)費
- 病院食代
- 差額ベッド代(特別療養環境室料)
- その他
医療(治療)費
病気や怪我を治療してもらうために支払う費用です
◇ 保険適用の場合 ⇒ 3割自己負担
共済組合の附加給付制度で、医療費の自己負担額はMAX2.5万円
▼ 詳細については ▼
>>消防士に民間の医療保険は必要?医療費編
◇ 保険適用外の場合 ⇒ 全額自己負担
保険適用外の医療費はレアケース or 贅沢費
▼ 詳細については ▼
>>消防士も先進医療に備えるべき?
病院食代
入院中に病院から提供される食事代については、
自己負担額が全国一律で「1食460円」と決められています
全額自己負担
普段も食費は掛かるもの、実質の負担増は 数十円~数百円/日
場合によってはプラスになることもある
▼ 詳細については ▼
>>消防士に民間の医療保険は必要?病院食代編
差額ベッド代(特別療養環境室料)
通常、大部屋を他の患者さんと共用することになりますが
個室や2人部屋、4人部屋などを希望する場合、追加費用として「差額ベッド代」がかかります
この「差額ベッド代」は公的医療保険の適用外のため、高額療養費制度による自己負担減対象にならず
全額自己負担
差額ベッド代は贅沢費、早く治るわけではない ⇒ 本当に必要か要検討
▼ 詳細については ▼
>>消防士に民間の医療保険は必要?差額ベッド代編
その他:生活費(雑費)など
病院内でのテレビの視聴料金や、着替えのクリーニング代など、病院内で生活するためのさまざまな費用
全額自己負担
- 保険が適用される医療費は原則3割自己負担
- 保険が適用されない医療費(先進医療など)や関連費(差額ベッド代・食費)は全額自己負担
③ 医療費負担のシミュレーション
実際に入院した場合に医療費はいくら掛かってくるのでしょうか?
入院費を見積もってみましょう
ここでは、支出と減収の把握を行います
1支出の把握
支出を見積もる際は、増える支出分だけではなく、それに伴って減る支出も考慮します
今回シミュレーションする想定は
それでは費用別に計算していきましょう
- 医療費
925,812円/月×0.3 ⇒ 277,743円 ⇒ 25,000円(附加給付制度) - 病院食代
460円/食 × 3食/1日 × 30日 ⇒ 41,400円/月
41,000円(増える食費) – 40,000円(減る食費) ⇒ 1,000円/月 - 差額ベッド代(特別療養環境室料)
8,000円/1日 × 30日 ⇒ 240,000円/月(差額ベッド代あり)
⇒ 0円/月(差額ベッド代なし) - その他:交通費、交際費等
2,000円/1日 × 4日 ⇒ 8,000円/月
8,000円(増える交通費) – 5,000円(減る交際費) ⇒ 3,000円/月
少し分かりづらいですが
「附加給付制度」や「減る支出を考慮」、「差額ベッド代のあり・なし」の違いを表に纏めてみると
差額発生分 | 医療費 | 病院食代 | 差額ベッド代 | その他 | 計 | |
何も考慮しない場合 | – | 925,812 | 41,400 | 240,000 | 8,000 | 1,215,212 |
+高額医療費制度 | -845,812 | 80,000 | 41,400 | 240,000 | 8,000 | 369,400 |
+附加給付制度 | -55,000 | 25,000 | 41,400 | 240,000 | 8,000 | 314,400 |
+実質支出増加分で考える | -5,000 | 25,000 | 1,000 | 240,000 | 3,000 | 274,000 |
+差額ベッド代なし | -240,000 | 25,000 | 1,000 | 0 | 3,000 | 29,000 |
医療費 | 病院食代 | 差額ベッド代 | その他 | 計 | |
差 額 | 約90万 | 約4万 | 24万 | 5千 | 約118.5万 |
2減収の把握
入院すると、働けなくなるため通常収入が減ります
ただし、消防士(公務員)は休業補償も手厚く
当面の間は大きく収入が減るリスクは抑えられています
病気の種別などにより詳細は異なりますが
- 有給休暇:有給残日数(100%)
- 病気休暇:半年(100%)
- 休職:1年(80%)
- それ以降(0%)※その代わりに傷病手当金有
などの補償が受けられます。
さらに互助会などに見舞金制度があれば、収入の補填も可能です
時間外や夜間勤務手当など各種諸手当分は少なくとも減ります(^_^;)
3シミュレーションのまとめ
増える支出については、附加給付制度などを含めて
正しく見積もってみると、どんなに高額な医療費が掛かっても
保険適用の医療費であれば約3万/月 (+差額ベッド代:0~24万)
減収に関しても手厚い補償のおかげで、ほぼありません
これらを考えると、どうしても個室でないと嫌だという人以外は
差額ベッド代が掛からないため、貯蓄だけで賄えそうですね
ただし、高額療養費制度や附加給付制度は月毎での計算となるので
月を跨ぐ場合は、倍の費用が掛かります
そのため、3万円×2か月 6万以上(余裕をみて10万)位を目途に、
医療費用として貯蓄をしてみてはいかがでしょうか
▼ 入金先のお勧めは ▼
>>共済貯金
④ 入院費用の調達方法
入院費用の調達方法は
- 貯蓄
- 家族や親族からの援助
- 共済や銀行からの医療貸付
- 民間の医療保険
⑤ 民間の医療保険を検討する余地がある人は?
いままで解説してきた内容は、
消防士(公務員)を続けることが前提です。
近い将来、消防士を止めることを決めている人は民間の医療保険を検討する余地があると思います
なぜなら、保険の特性上、年齢が上がれば病気のリスクが高くなるため掛金が上がり
最悪、既に病気に罹患した後の場合、保険に加入すらできなくなる or 条件付き:掛金上乗せの可能性があるからです。
また先進医療にも備えたいという人も、民間の医療保険を検討する価値はあると思います
まとめ:消防士に民間の医療保険は不要
消防士に民間の医療保険は基本不要
理由は
記事を読んで、それでも保障が足りないと感じ、
民間の医療保険に加入することを否定するつもりはありません
大事なのは、今受けられる保証を正しく理解し、
納得した上で、不足分だけ保険を契約することです
当然、保障を受けるためには保険料を支払う必要があり、
限られた収入のなか、過剰に保険に入り過ぎて
日々の生活費が圧迫される(いわゆる保険貧乏)ことのないように気を付けてください
皆さんが危険な現場へ出動し、汗水垂らして稼いだお金は大切です
無駄な支出を減らし、他の有効な使い道に投資しましょう
最後まで、読んで頂きありがとうございました。
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