初めまして、明日霧(アスキリ@asukiri)です。
当記事では、上記のような疑問・悩みを解決できるように
- 全消防職員
を対象に、明日霧(アスキリ) が解説します。
それでは、ともに学びましょう!!
前提:そもそも先進医療ってなに?
先進医療とは「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」として厚生労働大臣が定める「評価療養」の1つとされています。
具体的には、有効性及び安全性を確保する観点から、医療技術ごとに一定の施設基準を設定し、施設基準に該当する保険医療機関は届出により保険診療との併用ができることとしたものです。
なお、将来的な保険導入のための評価を行うものとして、未だ保険診療の対象に至らない先進的な医療技術等と保険診療との併用を認めたものであり、実施している保険医療機関から定期的に報告を求めることとしています
(厚生労働省 先進医療の概要についてより引用)
また先進医療には以下2区分があります
第2項先進医療 先進医療A
先進医療技術とともに用いる医薬品や医療機器等について薬機法上の承認・認証・適用がある場合、または承認等が得られていない検査薬等を使用する先進医療技術であっても、人体への影響が極めて小さいもの
第3項先進医療 先進医療B
薬機法上の承認等が得られていない医薬品や医療機器を用いても、一定の条件を満たせば保険診療との併用を可能としたもの
先進医療に指定されている具体的技術(治療)は?
先進医療A:24種類 先進医療B:61種類 全85種類
(厚生労働省 先進医療の各技術の概要より:令和3年9月1日現在)
先進医療の費用はいくら掛かる?
先進医療の技術料はどれくらいの費用が掛かるのでしょうか?
全てが高額ではない(数百~数万円のものもある)
- 100万円越え:14種類
- 50~100万 :12種類
- 10~ 50万 : 12種類
- 10万以下 : 19種類
- 未実施 : 28種類
厚生労働省の実績報告を基に、技術料が高額な順に並び変えてみましたので
確認してみましょう
No | 区分 | 技術名 | 年間実施件数 | 技術料 |
1 | B | ニボルマブ静脈内投与及びドセタキセル静脈内投与の併用療法 | 40件 | 約370万 |
2 | B | 重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に対する脳死ドナー 又は心停止ドナーからの膵島移植 | 1件 | 約355万 |
3~6 | A・B | 重粒子線治療(A:1種類 B:4種類) | 745件 | 約320万 |
7-8 | A・B | 陽子線治療(A:1種類 B:1種類) | 1,206件 | 約270万 |
9 | B | トラスツズマブ静脈内投与及びドセタキセル静脈内投与の併用療法 | 5件 | 約165万 |
10 | B | 自家末梢血CD34陽性細胞移植による下肢血管再生療法 | 5件 | 約120万 |
11 | B | 骨髄由来間葉系細胞による顎骨再生療法 | 1件 | 約107万 |
12 | B | インターフェロンα皮下投与及びジドブジン経口投与の併用療法 | 10件 | 約105万 |
13 | A | LDLアフェレシス療法 | 1件 | 約104万 |
14 | B | 不可逆電気穿孔法 | 3件 | 約96万 |
15 | B | 術後のカペシタビン内服投与及びオキサリプラチン静脈内投与の 併用療法 | 12件 | 約74万 |
令和2年度(令和元年7月1日~令和2年6月30日)実績報告を基に作成
※区分Bの技術名は条件の記載がありますが、簡略化して記載しています
技術料を高額順に見てみると、生活破綻が起こるような金額ではないにしても
普通乗用車が1台買える金額のため、保険を検討する余地はありそうです。
先進医療の実施件数
それでは、先進医療はどのくらい実施されているのでしょうか?
実施件数は意外と少ない。
【未実施を含め10件/年以下が約63%】
- 未実施(28件/85件):約33%
- 10件/年以下:約30%
【残り約37%の内訳】
- TOP3で1,000件以下
- TOP4で500件以下
- TOP9で100件以下
- TOP13で50件以下
こちらも 厚生労働省の実績報告を基に、年間実施件数の多い順に並び変えてみました
No | 区分 | 技術名 | 年間実施件数 | 技術料 |
1 | A | 陽子線治療 | 1,196件 | 約271万 |
2 | A | MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法 | 1,114件 | 約11万 |
3 | A | 重粒子線治療 | 703件 | 約312万 |
4 | A | ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法) | 483件 | 約2.8万 |
5 | A | 糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査 | 447件 | 約0.02万 |
6 | B | 術後のアスピリン経口投与療法 下部直腸を除く大腸がん | 297件 | 約0.1万 |
7 | A | 抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査 | 185件 | 約3.7万 |
8 | A | 高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術 | 118件 | 約30万 |
9 | B | マルチプレックス遺伝子パネル検査 難治性固形がん | 91件 | 約44万 |
10 | A | 神経変性疾患の遺伝子診断 | 74件 | 約2万 |
11 | B | マルチプレックス遺伝子パネル検査 | 71件 | 約90万 |
12 | A | 多項目迅速ウイルスPCR法によるウイルス感染症の早期診断 | 61件 | 約4.7万 |
13 | B | 切除支援のためのマイクロコイル併用気管支鏡下肺マッピング法 | 49件 | 約5.3万 |
14 | A | 細菌又は真菌に起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速 診断(PCR法) | 45件 | 約2.8万 |
15 | B | 腹腔鏡下センチネルリンパ節生検 早期胃がん | 45件 | 約5.4万 |
令和2年度(令和元年7月1日~令和2年6月30日)実績報告を基に作成
年間実施件数を実施件数順に見てみると、1,000件を超える実施があるものの
先進医療はあまり実施されてない印象ですが、皆様はどう感じますか?
さらに実施されている先進医療の内、高額(100万円越え)なのは陽子線治療と重粒子線治療の2つで
数十万円が3件ありますが、ほとんどが数千~数万円です
そのため、先進医療保険を検討するにあたって
陽子線治療と重粒子線治療を保険で備えるかが判断基準となりそうです。
保険会社は嘘をついて不安を煽っている?
決して嘘をついている訳ではないが、
保険を成約しやすいような情報を伝えている部分はある
保険の営業担当が持ってくる資料を簡単にまとめると
- 癌罹患率は2人に1人
- 先進医療で実施件数が多いのは陽子線治療と重粒子線治療
- 陽子線治療と重粒子線治療は高額
といったところでしょうか
①がんの罹患率は2人に1人
この「がんの罹患率が2人に1人」は日本人が一生のうちにがんと診断される確率です
実際の統計データを年齢別にみると
性別 | ~39歳 | ~49歳 | ~59歳 | ~69歳 | ~79歳 | 生涯 |
男性 | 1.2% | 2.7% | 7.8% | 21.9% | 43.6% | 65.5% |
女性 | 2.3% | 6.3% | 12.4% | 21.2% | 32.8% | 50.2% |
合計 | 1.75% | 4.5% | 10.1% | 21.55% | 38.2% | 57.85% |
定年までの罹患率は10.1~21.55%(10人に1人~5人に1人)です
高齢になるほど、罹患率が上がるため
どの年齢までの保証が必要か(子供がいれば子供が成人するまでなど)各自検討が必要です
②先進医療で実施件数が多いのは陽子線治療と重粒子線治療
先進医療の実施件数をみると
たしかにTOP3に陽子線治療と重粒子線治療が入っており実施件数が多いとわかります
では、実際にがん患者でこれらの治療を受ける可能性はどれくらいでしょうか?
がん患者の178.2万人(厚生労働省の患者調査より)に対し
- 陽子線1,196件 0.067%
- 重粒子線703件 0.039%
となります
こうみると、あまり実施される可能性は少ないようにみえます
先進医療の中では件数が多くても、先進医療がそもそもレアケースの治療法であるため
確率でみるとだいぶ低い印象に変わります
※ただし保険の本質から考えると、この確率はあまり重要ではないともいえます
③陽子線治療と重粒子線治療は高額
はい、陽子線治療・重粒子線治療共に高額ですね
これは現在の貯蓄状況にもよると思いますが、
生活が破綻するような金額かといわれるとそうでもない気がします。
実際に民間の医療保険を検討してみた
保険証が使えない=全額自己負担
先進医療は、安全性と有効性がまだ確認されていないため保険の適用外です
そのため、技術料は全額自己負担となり
何かしらの方法で備えは必要です。
指定されてても実際使えるかは別のはなし
先進医療を行うかどうかは、まず医師の判断が必要です
そのうえで、傷病者が同意して初めて先進医療は実施されます
また、高額な「陽子線治療」「重粒子線治療」ですが、
そもそも対象外のがん(罹患率2トップの胃がん、大腸がん)もあります
そのため、実施する確率は
がんの罹患率を考慮しなくても0.1%未満となります。
将来保険適用に移行することもある
今現在先進医療に指定されている治療も、将来保険適用になることがあります
例えば、2018年に一部のがんで陽子線治療・重粒子線治療が保険対象になりました。
その場合、
- 陽子線治療 :270万⇒2万5千
- 重粒子線治療:320万⇒2万5千
となります。
どのように備えるか?
では、どのように先進医療に備えるかを考えてみます
- 貯蓄
- 援助
- 医療貸付
- 保険(最終手段) → 先進医療は特約でしか入れないは嘘
①貯蓄
これは、単純ですね
先進医療に備えて、貯蓄をします
貯蓄の目安としては、生活防衛資金(生活費の3か月分~1年分:ライフステージによる)+α
正直、生活防衛資金を貯めて、さらに+300万を貯蓄するのはかなり難しいです
ですが、このあと検討する方法を用いるとしても
一部貯蓄で補正できると良いのではないでしょうか
②家族や親族からの援助
家族や親族との関係が良好であれば、非常事態の際に援助してくれることは多いでしょう
③共済や銀行の医療貸付
各市・共済・各銀行等で医療貸付を行っていることがあるので貸付を受ける
④医療保険
民間の医療保険には先進医療に対応する保険があります
①~③ができない場合は、検討する必要があります
先進医療は特約でしか入れないと思っている方もいると思いますが
探せば 月数百円で単独加入できるものもありますし
団体保険に先進医療特約をプラスなど工夫次第で割安にそなえられることもできます
まとめ:先進医療のために医療保険を検討する価値あり
今回は、消防士が先進医療を備えるべきかを検討しました。
これらを踏まえて、医療保険で備える必要があるか考えてみましょう
明日霧(アスキリ) の結論は
先進医療のほとんどが数千~数万円、
ただ、確率としては低いが300万以上かかることもあり、
今の貯蓄では心もとない
そのため、貯蓄の+α部分が100万程度貯まるまでは、
数百円で単独加入できる医療保険or最小の団体保険+特約で備えます
最後まで、読んで頂きありがとうございました。
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